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矯正治療の抜歯・非抜歯

矯正治療においての抜歯、非抜歯の考え方

矯正治療をしようか悩んでいる方へ、抜歯と非抜歯の選択について分かりやすく説明いたします。
歯を抜くか抜かないか、これは矯正治療の際に重要な決断です。できる限り歯を抜かずに矯正を進めたいと考える方は多いと思います。確かに、歯を抜かないで治療できる場合は、非抜歯で進めることが優先されます。
しかし、一定以上のスペース不足がある場合、特に成人の方では、抜歯が必要な場合があります。成人の場合、顎骨の成長が終了しており、スペースを作るためには歯を抜くことが唯一の方法です。高校生以上の年齢の場合、矯正治療において抜歯が必要な場合が8~9割を占めます。(一方、8、9歳頃から治療を始めた場合には、6~7割は抜歯なしで治療が可能です)
健康な歯を抜くことは慎重に考えるべきですが、顎の成長期を過ぎてしまっている場合には、抜歯をすることは必要不可欠です。
なぜなら、抜歯を避けて無理に非抜歯で治療を進めた結果、歯が拡大しすぎてしまい、逆に口元が突出してしまい、せっかくの矯正治療が逆効果になることがあるからです。
要するに、抜歯と非抜歯の選択は、口元の美しさと健康を両立させるための重要な判断です。最終的な治療方針は、患者様の個別の状態やニーズに基づいて決定されるべきでありますが、悩まれるようでしたらご相談ください。

矯正で抜歯をする理由

矯正治療において、歯を抜く必要があることはよくありますが、その背後には何があるのでしょうか?今回は、なぜ矯正治療で抜歯が必要なのか、その理由について詳しく説明します。
矯正治療で抜歯が必要な理由は、主に以下の4つが挙げられます。

  • デコボコを解消するためのスペースの確保
    歯並びが乱れている場合、歯の間に隙間や歯が重なっていることがあります。これを解消し、歯を理想的な位置に整えるために、スペースが必要です。抜歯によってスペースを確保し、デコボコを改善します。
  • 上下歯列の咬み合わせのズレを補正するため
    歯の上下の咬み合わせが合っていない場合、食事や発音に支障をきたすことがあります。抜歯によってスペースを作り、咬み合わせを補正することで、機能的な咬み合わせを取り戻します。
  • 前歯の角度や位置を改善するため
    正しい歯の角度や位置は、見た目の美しさだけでなく、噛む力を均等に分散させ、歯を守る役割も果たします。抜歯によって必要なスペースを確保し、前歯の角度や位置を改善することで、美しい歯並びを実現します。
  • 口元の突出(口ゴボ)を改善して綺麗な横顔にするため
    口元が突出していると、横顔が不自然になることがあります。抜歯によって必要なスペースを作り、口元を整えることで、美しい横顔を実現します。
    これらの理由から、矯正治療において抜歯が必要な場合があります。しかし、抜歯と非抜歯の選択は、患者の個別の状態に基づいて行われます。デコボコの量、咬み合わせのズレ、前歯の角度や位置、口元の突出度合いなど、患者の状態に合わせて最適な治療方法が選ばれます。矯正治療に関する詳細な情報は、専門家との相談が大切です。

非抜歯で矯正治療は注意を

「100%非抜歯でできます」というような、非抜歯で行うこと自体が目的になってしまっている歯科医院もありますが、そのように無理やり非抜歯で行った結果、満足のいかない結果になるというのはあり得ることです。
歯の並ぶスペースが、十分に顎のサイズに対してない場合、そこに並べようとするとどうしても前歯が前に出てしまう傾向にあります。
そうなってしまうと矯正治療を行ない、きれいに歯を並べたのに口元が出てしまい審美的に良い影響が無くなってしまい失敗に終わってしまいます。
矯正治療を考えている皆さんへお伝えしたいのは、重要なのは、歯が並んでいない原因を突き止め、歯の並ぶスペースを確保することです。非抜歯矯正も選択肢の一つではありますが、必ずしも最適な選択とは限りません。歯の並ぶスペースを確保しながら、最適な治療方法を良く専門医と相談し、決めるようにしましょう。

非抜歯で矯正治療をする他の方法も

歯を矯正する方法について、いくつかのアプローチがあります。まず、奥歯を後ろに動かしてスペースを作り、他の歯も順に奥へ移動させることができれば、非抜歯でも矯正可能です。この方法は、左右の奥歯を移動させることで、約5mm前後のスペースを確保します。ただし、歯を支える土台の骨がない部分への移動はできないため、歯列にある程度の余裕が必要です。
また、「非抜歯」とは、「親知らず以外の歯を抜歯しない」ということを指します。
この後方移動と呼ばれる方法は、インビザラインなどのマウスピース矯正に向いています。
次に、軽度な歯並びの問題で、前歯が少し大きくて歯列に入りきらない場合に用いられるストリッピングという方法があります。
これは、いくつかの前歯の両側を表面のみわずかに削り、スペースを生み出す方法です。削る厚みはわずか0.2〜0.6mmで、エナメル質の厚みの半分以下ですので、虫歯や知覚過敏を誘発することはありません。複数の歯を削ることである程度の余裕ができますが、大きなスペースを作るには不向きで、軽度の症例でのみ適用できます。
最後に、歯の土台のスペースに余裕を作る方法として、あご(歯列)を拡大する方法があります。歯は奥歯から前歯を通り逆側の奥歯へと、U字型に湾曲した土台に生えています。この土台を外側に広げることで、より多くの歯が並ぶスペースを生み出すことができます。ただし、どの程度広げられるかはあごの大きさなどに依存し、成長が終わった大人では拡大の程度には限界があります。上あごは比較的拡大しやすいですが、下あごの拡大は難しいため、適用できる症例は限られます。
これらの方法を考慮しながら、歯の矯正治療において最適な選択肢を検討しましょう。

口元の美しさや噛み合わせを重要視して

口元の美しさと噛み合わせを考慮して、非抜歯で治療を行う際に大切なことは、歯が一列に並んだだけでなく、口元が突出して顔貌が悪化しないように気を付けることです。治療を始める前に、しっかりと診察と診断を行い、適切な治療計画を立てることが必要です。歯の並びだけでなく、口元と顔全体の美しさを検討し、場合によっては抜歯を選択することが賢明です。
歯の本数が減ることに不安を感じる方もいるかもしれませんが、本数が多くても正しく噛むことができないより、本数は減ってもすべての歯が正しく噛む方が理想的です。矯正治療には時間、費用、労力がかかりますが、それが無駄にならないよう、口元の美しさと噛み合わせの調和を考慮した、高品質な矯正治療を受けることが大切です。診察と診断を通じて、あなたの個別のニーズに合った最適な治療プランを見つけるお手伝いをさせていただきます。
是非一度、ご相談下さい。