セラミック矯正について
「セラミック矯正」は、可能な限り早くキレイな歯を手に入れたいという患者様のご希望に合った矯正治療方法ですが、これはワイヤー矯正やマウスピース矯正とは違った治療法です。
また、セラミック矯正は健康な歯を削らなければならないため、歯の寿命を縮めてしまう可能性があることを知っておいていただきたいです。
セラミック矯正ってどんな治療?
歯を削ってセラミックを被せる治療
「セラミック矯正」は「矯正」という言葉を使用していますが、矯正専門歯科が行う矯正治療とは治療法が全く違う治療方法です。大きさや傾きなどの問題になっている歯を削り、その上からセラミックの人工歯を被せることで審美性を改善していきます。
治療が早い、一方でリスクもあり
歯を削ってセラミックの人工歯を被せるため、基本的な治療が数日で完了するケースもあります。「早く」というニーズに応えた治療方法ですが、ワイヤー矯正やマウスピース矯正とは異なり、根本的な歯の傾きや位置を動かす治療ではないため、噛み合わせに問題が出る場合もあります。
芸能人が行ったことで若年層にも増加
白く整った美しい歯をした芸能人のイメージから、「セラミック矯正」をやりたいと考える若い方が増加しているようです。ただ、実際にどんな治療をするのか分からないまま治療を受け、歯を削った後に後悔する方もいるようですので、しっかりと説明を受けていただき納得していただいた上で治療してください。
セラミック矯正のメリット・デメリット
セラミック矯正を検討する際に参考にしていただくため、治療を受けた場合のメリットとデメリットをご紹介します。
メリット
- 一般的な矯正治療と比べて治療が短期間
- 装置による痛みがない
- 通院回数が少ない
- 色や形を選択できる
- 矯正器具を装着しないため、審美的な治療が受けられる
デメリット
- 健康な歯を削る必要がある
- 天然歯ほど長持ちしない。欠ける場合がある。
- 経年により劣化したセラミックを交換するのに同等の費用がかかる
- 歯と人工物の段差に汚れが付着しやすく、不衛生になることで歯周病に発展する場合もある
- 想像していたよりも歯が矯正されず、治療後に不満が残る場合がある。また、不満がある場合でも後から矯正治療に変更ができないケースが多い。
金属と比べるとセラミックは強度がやや劣るため、より厚みを出す必要があり、歯を削る量が多くなってしまいます。削った歯は元には戻らないため寿命が短くなり、神経の治療を行った場合は寿命が更に縮まります。
セラミッククラウンは、口腔環境を良好な状態で保てば20年もつと言われていますが、一般的には10年程度が耐久年数だと言われています。
セラミック矯正は一般的な矯正治療よりも価格が安いと言われていますが、10年ごとにセラミッククラウンを交換するとなると、決して経済的ではありません。交換にかかる費用は初回の治療とほぼ変わらないためです。
また、天然歯とセラミッククラウンとの間に段差ができ、そこに歯ブラシが届きにくく食べカスなどが残りやすくなるため、歯周病のリスクも高まります。歯周病が進行すると、歯茎が下がり歯根が見える、歯が抜けやすくなる、歯茎が黒ずむ、口臭が出るなど、様々なお口のトラブルが発生するリスクがあります。
セラミック矯正が適している、代表的なケース
出っ歯の場合
出っ歯とは、上の前歯が大きく前に突出している状態です。唇をうまく閉じられなかったり、うまく噛み合わせが合わないケースが多いです。
- 前歯のサイズが大きい、または出っ歯
- 噛み合わせが深すぎるため下の歯が隠れてしまう
- 唇が鼻の先端とアゴの先端を結んだライン(Eライン)の内側に収まっていない
上の前歯が乱杭歯や叢生(デコボコ)の場合
こちらは一番手前の前歯が出っ歯気味に大きく外に向き、2番目の歯が内側に隠れて、3番目の犬歯が傾いている状態です。
- 1番目の歯が大き過ぎる、もしくは傾いている
- 2番目の歯が前歯の後ろに隠れている
- 3番目の歯が傾いている